1. はじめに

ある朝、子どもが「学校に行きたくない」とぽつりとつぶやいたら、あなたはどんな言葉を返しますか?

「どうしたの?」と優しく聞くでしょうか。それとも、「またそんなこと言って…」と、戸惑いながらも無理に登校を促そうとするでしょうか。

突然の言葉に驚き、どうすればいいのか分からなくなるのは当然のことです。「このまま休ませてもいいのか」「甘やかしにならないか」「無理に行かせたらもっと状況が悪化するのでは」と、さまざまな考えが頭をよぎるかもしれません。

この記事では、思春期の子どもが「学校に行きたくない」と言ったときに、親としてどのように対応すればよいのか、逆効果になってしまう対応とともにお伝えします。


2. なぜ「学校に行きたくない」と言うのか?

学校が嫌だと感じる理由は、子どもによってさまざまです。親からすると「そんなことで?」と思うこともあるかもしれませんが、子どもにとっては大きな問題であることもあります。

たとえば、次のような理由が考えられます。

  • クラスでの人間関係がうまくいかない(いじめ、仲間外れ、友人トラブル)
  • 勉強についていけず、授業が苦痛に感じる
  • 先生との相性が合わず、授業がつらい
  • 部活のプレッシャーや、部員との関係がストレスになっている
  • 朝起きるのがつらく、体がだるい(睡眠不足・体調不良)
  • 理由は分からないが、ただ何となく気持ちが沈む

「明確な理由がない」「話してくれない」場合もあります。そのときは、子ども自身も何がつらいのか分かっていないことが多いのです。

親としては、まず子どもの気持ちに寄り添いながら、少しずつ心の中を整理できるようサポートしていくことが大切です。


3. 親ができる3つの対応

① まずは子どもの気持ちを受け止める

子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、すぐに「なんで?」と問い詰めるのは逆効果です。

たとえば、大人でも「会社に行きたくないな」と思う日があるのではないでしょうか。そのときに、「なんで行きたくないの?」と細かく聞かれたら、ますます気持ちが沈んでしまうかもしれません。

子どもも同じで、理由を話したくないこともあるのです。

最初にするべきことは、ただ気持ちを受け止めること

「そっか、今日は行きたくないんだね。」
「何かあったの?」

このように、シンプルな言葉で寄り添うだけでも、子どもは「分かってもらえた」と感じるものです。


② 選択肢を一緒に考える

「学校に行く」「休む」という二択ではなく、もう少し柔軟な選択肢を一緒に考えてみましょう。

例えば、

  • 少し遅れて行ってみる
  • 保健室や図書室で過ごしてみる
  • 担任の先生やスクールカウンセラーと相談する
  • 一旦休んで、明日からのことを一緒に考える

無理に「行かせる」必要はありませんが、子どもが自分で「どうしたいか」を考えられるようにサポートすることが大切です。

「今日は遅れて行くのはどう?」
「保健室登校を試してみる?」

このように、いくつかの選択肢を提示することで、子ども自身が納得のいく形で動きやすくなります。


③ 無理に解決しようとしない

親はつい「何とかしなくちゃ」と思いがちですが、子ども自身が答えを見つける時間を持つことも大切です。

「学校に行きたくない」と言う子どもに、すぐに正解を示そうとするのではなく、気持ちを整理するための時間を作ることも必要です。

たとえば、こう問いかけてみるのはどうでしょうか。

「今はどう感じてる?」
「どうしたら気持ちが楽になりそう?」

解決策を急ぐのではなく、子どもが安心して話せる環境を作ることで、少しずつ前向きになれるかもしれません。


4. やってしまいがちなNG行動

① 「とにかく行きなさい!」と強制する

無理に行かせても、問題の本質は解決しません。むしろ、さらに登校拒否が強くなることもあります。

「行きたくない」と言う背景には、子どもなりの理由があるはずです。まずは気持ちを受け止めることから始めましょう。


② 「学校なんて楽しいよ」と軽く励ます

「学校なんて楽しいのに、行かないなんてもったいない」と言いたくなるかもしれませんが、これは逆効果です。

子どもがつらさを感じているのに、楽しいと言われても気持ちのギャップが生まれ、かえって孤独を感じることがあります。


③ 「なんでそんなことで休むの?」と責める

親からすれば「大したことない」と思うことでも、子どもにとっては深刻な問題かもしれません。

「そんなことで」と言われると、「話しても分かってもらえない」と感じ、ますます心を閉ざしてしまいます。


5. まとめ

子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、親にできることは、

  • まず気持ちを受け止める
  • 一緒に選択肢を考える
  • 無理に解決しようとしない

この3つを意識するだけでも、子どもの気持ちは変わっていくかもしれません。

まずは、子どもが安心して話せる環境を作ることから始めてみませんか。

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